「未病治」の考え方は、病気が発症する前の体の不調やバランスの崩れを治す・正すことを意味します。 鍼灸治療は、その根本原因にアプローチし、体の自然な治癒力を高める手助けをします。
本記事では、「未病治」に焦点をあてながら、鍼灸がどのように健康な状態を維持し、将来の病気を予防するのかについて詳しく調べていき、鍼灸の効果と未病ケアの重要性について詳しく解説します。
鍼灸治療のそもそもの効果や作用についても簡単にご紹介いたします。
Contents
未だ病まざるを治す
東洋医学には、「未病」という言葉があります。
これは、健康と病気の間の状態を指します。
まだ病気になっていないが、今後病気になる可能性があるという状態です。
「病気になってしまう前に養生をして、健康状態を維持する」という考え方で、東洋医学の基本となっています。
「未病を治す」という考え方には二つの意味があります。
一つは病気の予防。これから発症しそうな病気を予防することです。この場合の未病は、検査結果では異常が見られず、自覚症状もない場合があります。
もう一つは、悪化と二次疾患の予防。すでになってしまった病気を悪化させない、二次的な病気を発症させないことです。
分類 | 自覚症状 | 検査結果異常 |
---|---|---|
健康 | なし | なし |
病気 | あり | あり |
未病(無症状) | なし | あり |
未病(自覚症状あり) | あり | なし |
自然治癒力を高める鍼灸治療
東洋医学では、基本的に身体のバランスを要素を「気・血・津液(水)」に分け、バランスが保たれている状態が健康状態であるとされています。
鍼灸治療は、その気・血・津液のバランスの崩れ方によって療法が定められており、体中に2,000以上あるツボを症状に応じて使い分けています。
「気・血・津液」のバランスの状態や体質を「証」という言い方で分類しています。
「証」は、問診、脈診、触診、などから導き出され、証に基づいて鍼灸の治療方針を決めます。
「証」を導き出す方法には、様々な流派があり、
八綱弁証(はっこうべんしょう) 気血津液弁証(きけつしんえきべんしょう) 臓腑弁証(ぞうふべんしょう)
といった、様々な方法を用いて導き出します。
ここでは、比較的よく見られる「気・血・津液」のバランスから見た3つの例を紹介します。
証の分類 | 状態 | チェック項目 |
---|---|---|
気虚 (ききょ) | 気が不足している状態 →体調を崩しやすい、無気力や疲労感、だるさ、食欲不振 | ・疲れやすい ・肌にハリがない ・風邪をひきやすい |
血虚 (けっきょ) | 血が不足している状態 →貧血、皮膚の乾燥、脱毛、血行不良 | ・むくみやすい ・爪が脆い、割れやすい ・心配性な面がある |
陰虚 (いんきょ) | 津液が不足している状態 →のぼせ、顔面紅潮、ほてり、口喝寝汗、不眠、耳鳴り | ・肌、髪の乾燥 ・眼の渇き、のどの渇き ・便秘、便が硬い |
他にも、「水滞」「気滞」「瘀血」「陽虚」「痰湿」「湿熱」などの「証」があります。
このように人によって体質が異なるため、同じような症状でも治療法が異なることがあります。
鍼灸治療の効果とは
鍼灸治療は、全身にあるツボに髪の毛ほどの細い鍼を打ったり、お灸を据えることで、身体の自然治癒力を引き出していきます。
その刺激は、胃腸や心臓と言った各臓器や自律神経に作用し、その働きを調整します。
詳細なメカニズムは現在も研究中ですが、これまでの長い歴史における臨床経験と、現在進められている科学的研究によっていくつものエビデンスが明らかになっています。
血行促進作用
通常、症状や疲労が起きている部位は、血流が停滞しやすくなります。鍼灸治療でツボを刺激し、血行を良くすることで、傷ついた部位の修復を促したり、老廃物や疲労物質を除去し、回復をはかります。
反対に、関節の炎症など患部に集まっている血液を動かすことで炎症を鎮めたりもします。
免疫力の活性化作用
近年の研究では、鍼灸治療の施術後に細胞性免疫担当細胞とNK細胞(ナチュラルキラー細胞)の活性を高める作用が確認されています。これらの免疫作用は、がん細胞や細菌、ウィルスから身体を守る働きをしています。鍼灸治療によってバランスを取ることにより、生体防御機能が高まり、身体全体の免疫機能を活性化させます。
生体機能調整作用
ストレスを感じると脳は感情の変化に合わせて、内部環境を維持するために生体反応を起こします。これを恒常性と言います。体内で生じた電気信号とホルモン等の化学物質の情報は自律神経や各臓器に伝わり、その機能や免疫系の働きを活発化したり逆に鎮めたりします。
その働きが何らかの影響で正常に働かなくなると体調不良になるため、鍼灸治療ではツボを刺激して、機能が正常に働くように調整します。
鎮痛作用
鍼灸治療による神経への刺激は血行や水分代謝を促し、痛みや疲労の原因となる物質を老廃物として排出する作用も持っています。
また、最近の研究では、鍼灸で身体のツボを刺激することで、中枢神経の中に内因性オピオイド(モルヒネのような役割)が放出されることが分かった。このホルモンが、痛みを脳に伝える神経経路をブロックします。
※2019年に改訂された国際疾病分類(ICD-11)には、伝統医学の項目が新設され、今後、さらに積極的に治療や研究が行われていく方向にあります。
下記に厚生労働省の鍼灸を含む、統合医療を説明した記事を紹介しております。
はり・きゅう の習慣は有効です
鍼灸治療の基礎について、改めて記事にしました。
難しい用語が多かったと思いますので、改めて記事にしていこうと思います。
鍼灸治療は、筋肉や神経だけでなく、内臓の不調や病になる前に治す「未病治」の考え方で、未病を治すことをしていきます。
ご不明点や、不安に思うことなどありましたら、お気軽にご相談ください!
梅島・西新井エリアで鍼灸をお探しの方
梅島鍼灸院では鍼灸治療、美容鍼、スポーツ鍼灸を行います。
梅島、西新井、五反野エリアから、足立区全般の患者様に多くご利用いただいています。
頭痛や腰痛、首・肩のコリや全身疲労、自律神経の乱れの治療にも有効です。
西新井・梅島エリアを含む足立区で腰痛治療をお探しの方は梅島鍼灸院にいつでもご連絡ください!