「委中(いちゅう)はどこにあるツボ?」「膝裏のツボは腰痛と関係がある?」「委中にはどのような特徴がある?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。
委中は、膝の裏側に位置する代表的な経穴の一つです。国際的にはBL40と表記され、東洋医学では「足の太陽膀胱経」に属するツボとして整理されています。
古くから腰まわりの不調などに関連して用いられてきた経穴ですが、「委中を押せば腰痛が治る」「坐骨神経痛には必ず委中が効く」と単純に考えることはできません。
腰痛や脚のしびれにはさまざまな原因があり、筋肉や関節の状態、神経への負担、日常生活や運動による影響などを総合的に確認することが大切です。
また、膝裏には神経や血管など重要な組織も存在します。そのため、自分で委中を刺激するときには、強く押し続けないなど安全面にも注意が必要です。
この記事では、足立区・梅島の梅島鍼灸院が、委中の場所や特徴、東洋医学での考え方、腰まわりとの関係、鍼灸での活用方法について鍼灸師の視点から分かりやすく解説します。
委中とはどのようなツボ?
委中は、膝の裏側にある経穴です。
経穴とは、一般に「ツボ」と呼ばれている身体上のポイントで、鍼灸では身体の状態を確認したり、必要に応じて鍼やお灸などの刺激を加えたりするときに用いられます。
委中は東洋医学における足の太陽膀胱経に属しており、国際的な経穴番号ではBL40と表記されます。
膝裏という比較的分かりやすい場所にあるため、セルフケアのツボとして紹介されることも少なくありません。
一方で、膝裏には筋肉や腱だけでなく、神経や血管なども存在します。
そのため、「膝裏の真ん中を強く押せばよい」と考えるのではなく、場所や身体の構造を理解したうえで扱うことが大切です。
委中の読み方は「いちゅう」
委中は「いちゅう」と読みます。
漢字だけでは読み方が分かりにくいため、「いちゅう ツボ」と検索して場所や特徴を調べる方もいます。
「委」という文字には、曲がる、ゆだねるといった意味があり、「中」は中央を表します。
経穴名の由来には諸説ありますが、膝を曲げたときにできる膝裏の中央付近に位置することが、名称と関係していると考えられています。
ただし、経穴の名称から現代医学的な作用を直接説明できるわけではありません。
名前の由来と、実際の身体への作用や症状との関係は分けて理解する必要があります。
委中は左右どちらにある?
委中は、左右それぞれの膝裏にあります。
つまり、右膝にも左膝にも委中があります。
ただし、鍼灸施術では必ず左右両方の委中を同じように使用するわけではありません。
例えば、
右側だけ腰に違和感がある
片脚にしびれを感じる
左右で膝や股関節の動きが異なる
筋肉の緊張に左右差がある
といった場合には、身体の状態を確認しながら施術する場所を検討します。
「ツボは左右にあるから、必ず両側を同じ強さで刺激する」という考え方ではありません。
委中の場所はどこ?膝裏の位置を確認
委中は、膝の裏側にある横じわの中央付近に位置する経穴です。
膝を軽く曲げると、膝裏に横方向のしわが確認できます。
その中央付近が、委中の位置を確認するときの一つの目安になります。
比較的見つけやすいツボですが、膝裏には重要な組織が集中しているため、強く押し込むような刺激は必要ありません。
位置を確認するときも、「痛い場所を探す」のではなく、身体の目印から位置関係を確認することが大切です。

膝裏の横じわの中央付近が目安
委中の位置を探すときには、まず膝を軽く曲げて膝裏を確認します。
膝を曲げると、膝裏に横方向のしわができます。
委中は、その横じわのほぼ中央付近を基準として位置を確認します。
ただし、身体の形や膝裏のしわの入り方には個人差があります。
そのため、
「横じわの真ん中なら、どこを押しても委中」
というわけではありません。
鍼灸師が取穴するときには、膝裏の形状や周囲の組織なども確認しながら位置を判断します。
膝を軽く曲げると位置を確認しやすい
膝を完全に伸ばした状態よりも、少し曲げた状態の方が膝裏の横じわを確認しやすくなります。
椅子に座った状態などで膝を軽く曲げ、膝裏の中央付近を確認すると位置関係を把握しやすいでしょう。
ただし、自分で場所を探すために膝裏を何度も強く押す必要はありません。
委中は、強く押して痛みを出すことを目的とするツボではありません。
触れる場合には、無理のない程度の軽い刺激にとどめてください。
押して痛い場所が委中とは限らない
「膝裏を押したら痛かったので、そこが委中だと思った」というケースもあります。
しかし、押して痛い場所=委中とは限りません。
膝裏には、太ももの裏側やふくらはぎにつながる筋肉・腱のほか、神経や血管なども存在しています。
歩きすぎや運動による負担、筋肉の緊張、膝関節周辺の問題などによっても、膝裏に圧痛を感じることがあります。
そのため、
「痛いほど悪い」
「痛い場所ほど効くツボ」
「強く押した方が効果が高い」
と判断しないことが大切です。
膝裏に腫れや熱感がある場合、突然強い痛みが出た場合、脚全体が腫れている場合などには、セルフケアとして繰り返し刺激せず、医療機関への相談を検討してください。
委中は東洋医学でどのように考えられている?
委中は、東洋医学では足の太陽膀胱経に属する経穴として整理されています。
足の太陽膀胱経は、背中から腰、下肢など広い範囲に経穴が配置されている経絡の一つです。
このため、伝統的な鍼灸では、膝裏にある委中を腰まわりの状態などと関連づけて用いる考え方があります。
ただし、東洋医学の「経絡」は現代医学における神経や血管そのものを意味しているわけではありません。
「膀胱経」という名称も、現代医学でいう膀胱という臓器だけに関係する経穴という意味ではありません。
東洋医学の伝統的な身体観と、現代医学における身体構造は区別して理解することが重要です。
委中は「合穴」に分類される
東洋医学では、手足にある一部の経穴を「五兪穴(ごゆけつ)」という考え方で分類します。
五兪穴には、
井穴
滎穴
兪穴
経穴
合穴
という分類があり、委中はその中の 合穴(ごうけつ)に位置づけられます。
これは東洋医学で経穴の特徴を整理するために用いられてきた伝統的な分類です。
ただし、「合穴だからこの病気に必ず作用する」といった意味ではありません。
実際の鍼灸施術では、こうした伝統的な考え方だけで施術部位を決めるのではなく、現在の症状や身体の動き、筋肉の緊張なども確認しながら施術方法を検討します。
「腰背は委中に求む」という考え方
東洋医学では、委中と腰背部との関係を表す言葉として、「腰背は委中に求む」という考え方が知られています。
これは、腰や背中の状態を考える際に、膝裏にある委中が伝統的に重要な経穴の一つとして用いられてきたことを示しています。
症状がある場所から離れた経穴を用いることは、鍼灸では珍しいことではありません。
一方で、この言葉を
「腰痛なら委中を押せば治る」
という意味に受け取るのは適切ではありません。
腰痛には多くの原因や背景があり、委中だけで対応できるものではありません。
伝統的な経穴の考え方を参考にしながらも、実際には腰や骨盤、股関節、下肢などの状態を確認することが重要です。
委中と腰まわりの不調との関係
委中は、古くから腰や背中に関連する経穴として用いられてきました。
そのため、「腰痛のツボ」として紹介されることも多くあります。
しかし、腰痛は一つの原因で起こる症状ではありません。
長時間の座位や立ち仕事、スポーツ、筋肉の緊張、関節の動き、神経への負担など、さまざまな要因が関係する可能性があります。
鍼灸では「腰が痛いから委中を使う」と機械的に決めるのではなく、身体の状態を確認したうえで委中を使用するかどうかを検討します。
腰痛は腰だけに原因があるとは限らない
腰に痛みがあると、腰そのものに原因があると考えやすいかもしれません。
しかし、身体は腰だけが独立して動いているわけではありません。
立つ、歩く、前屈する、身体をひねるといった動作には、腰だけでなく股関節や膝、足首なども関係します。
例えば、
股関節が動きにくい
太ももの裏側が緊張している
左右の脚の使い方に差がある
長時間同じ姿勢を続けている
といった状態が、腰まわりへの負担に影響していることもあります。
そのため、腰痛について鍼灸施術を行う場合にも、腰だけを見るのではなく、必要に応じて下肢を含めた身体全体の状態を確認します。
委中だけを刺激すればよいわけではない
委中は腰まわりとの関係が知られている経穴ですが、すべての腰痛に対して委中を使用するわけではありません。
身体を確認した結果、
腰周辺への施術
臀部への施術
太ももやふくらはぎへの施術
別の経穴への施術
などを組み合わせることもあります。
ツボの情報をセルフケアに活用するときも、
「腰痛には委中」
と一対一で覚えるより、
委中は腰まわりの状態を考える際に用いられてきた経穴の一つ
と理解する方が適切です。
坐骨神経痛と委中をどう考える?
委中は、腰まわりの不調だけでなく、脚に痛みやしびれがあるときに紹介されることもある経穴です。
そのため、「坐骨神経痛に委中が効く」と説明されることがあります。
ただし、坐骨神経痛という言葉は、腰やお尻から脚にかけて痛みやしびれが出る状態を広く表すために使われることがあり、その背景は一つではありません。
腰椎まわりの影響、臀部の筋肉による負担、神経への刺激など、複数の要因が関係する可能性があります。
そのため、委中という一つの経穴だけで対応を考えるのではなく、痛みやしびれがどの範囲に出ているか、どのような動作で強くなるか、筋力低下がないかなどを確認することが重要です。
脚のしびれがある場合は状態を確認することが大切
脚のしびれがある場合、「ツボを押せばよい」と自己判断する前に、症状の出方を確認することが大切です。
例えば、
- 腰から脚にかけてしびれる
- お尻から太ももの後ろに症状が出る
- ふくらはぎや足先までしびれる
- 長く歩くと症状が強くなる
- 咳やくしゃみで痛みが強くなる
など、症状の現れ方には違いがあります。
鍼灸施術でも、こうした症状の分布や動作との関係を確認しながら、委中を含めた施術部位を検討します。
委中を使わない場合もあります
「坐骨神経痛があるなら委中を使う」という決まりがあるわけではありません。
症状の状態によっては、
- 腰部
- 臀部
- 太もも
- ふくらはぎ
- 別の経穴
などを選択することもあります。
委中は、あくまで施術を検討する経穴の一つです。
症状に応じて身体全体の状態を確認し、必要な部位を組み合わせていくことが大切です。
強いしびれや筋力低下がある場合は医療機関への相談を
脚のしびれが強い場合や、足に力が入りにくい場合などは、セルフケアだけで対応し続けないことが重要です。
特に、
- 急に強いしびれが出た
- 脚に明らかな筋力低下がある
- 歩行が難しい
- 排尿や排便に異常がある
- 会陰部周辺の感覚が低下している
といった症状がある場合は、速やかに医療機関への相談を検討してください。
鍼灸では委中をどのように活用する?
鍼灸では、委中の場所だけを見て施術を決めるわけではありません。
腰や膝裏の症状がある場合でも、身体全体の状態を確認したうえで、委中を使うかどうかを判断します。
例えば、
- 腰の動き
- 股関節の可動性
- 太ももやふくらはぎの緊張
- 左右差
- 痛みが出る動作
- しびれの範囲
などを確認します。
そのうえで、必要に応じて委中への施術を組み合わせます。
膝裏の状態を確認する
委中は膝裏にあるため、施術前には膝裏の状態を確認します。
膝裏に腫れや熱感がある場合や、強い圧痛がある場合には、無理にその部位へ刺激を加えることは適切ではありません。
また、膝裏には重要な神経や血管が存在するため、鍼施術では身体構造を理解したうえで安全に扱う必要があります。
腰・臀部・下肢をあわせて確認する
腰の症状がある場合でも、問題が腰だけにあるとは限りません。
そのため、委中を使用する場合にも、腰だけでなく臀部や下肢の状態をあわせて確認します。
例えば、太ももの裏側やふくらはぎに強い緊張がある場合には、それらの部位への施術を組み合わせることがあります。
鍼灸では、一つのツボだけに頼るのではなく、身体全体のバランスを見ながら施術方針を組み立てます。
必ず委中に鍼をするわけではありません
委中は代表的な経穴ですが、症状があるからといって必ず鍼をするわけではありません。
身体の状態によっては、
- 直接委中を使わない
- 周囲の筋肉へ施術する
- 別の経穴を使用する
- 腰や臀部を中心に施術する
といった選択をすることもあります。
重要なのは、「ツボ名」に合わせて施術するのではなく、現在の身体の状態に合わせて施術を検討することです。
委中をセルフケアするときの注意点
委中は比較的場所を確認しやすい経穴ですが、膝裏は強く刺激する場所ではありません。
セルフケアとして触れる場合は、軽く位置を確認する程度にとどめることが大切です。

強く押しすぎない
委中を刺激するときに、強く押し込む必要はありません。
痛いほど押したからといって、効果が高まるわけではありません。
強い圧迫は、周囲の組織に余計な負担をかける可能性があります。
指の腹で軽く触れる程度から始め、違和感や痛みが出た場合には中止してください。
膝裏に腫れや熱感がある場合は刺激しない
膝裏に腫れや熱感がある場合は、セルフケアとして刺激を加えない方が安全です。
また、急に膝裏が腫れた場合や、ふくらはぎまで腫れている場合などには、ツボ刺激よりも原因の確認を優先してください。
長時間押し続けない
委中を何分も強く押し続ける必要はありません。
短時間、軽く触れる程度で十分です。
特に膝裏は神経や血管が通る場所なので、強い圧迫を長時間続けないようにしてください。
お灸を行う場合はやけどに注意する
自宅でお灸を行う場合も、熱さを我慢しすぎないことが大切です。
熱いと感じたら早めに外し、皮膚に赤みやヒリヒリ感が残る場合には繰り返し行わないでください。
また、膝裏は自分では見えにくい場所でもあるため、無理にセルフケアを行わないことも重要です。
委中についてよくある質問
Q1.委中はどこにありますか?
委中は、膝の裏側にある横じわの中央付近に位置する経穴です。
膝を軽く曲げると、場所を確認しやすくなります。
ただし、膝裏には神経や血管などもあるため、強く押し込む必要はありません。
Q2.委中は何と読みますか?
委中は「いちゅう」と読みます。
国際的な経穴番号ではBL40と表記されます。
Q3.委中は左右両方にありますか?
はい。委中は左右それぞれの膝裏にあります。
ただし、施術では必ず両側を同じように使用するわけではありません。
身体の状態を確認しながら使用する側を検討します。
Q4.委中は腰痛に効果がありますか?
委中は、東洋医学では腰や背中と関連して用いられてきた経穴の一つです。
ただし、腰痛にはさまざまな背景があるため、「委中を刺激すれば腰痛が改善する」と断定することはできません。
腰や股関節、下肢なども含めて身体の状態を確認することが大切です。
Q5.委中は坐骨神経痛に使いますか?
坐骨神経痛のような脚の痛みやしびれがある場合に、委中を使用することはあります。
ただし、必ず委中を使用するわけではありません。
症状の出方や身体の状態を確認し、必要に応じて他の部位と組み合わせて施術します。
Q6.委中を押して痛いのは悪い状態ですか?
押したときに痛みがあるからといって、必ずしも悪い状態とは限りません。
膝裏には筋肉や腱、神経、血管などがあり、さまざまな理由で圧痛が出ることがあります。
強く押して状態を確認しようとせず、痛みや腫れが続く場合は専門機関への相談を検討してください。
足立区・梅島で腰や下肢の不調について相談したい方へ
腰の痛みや脚のしびれ、膝裏の違和感がある場合、症状が出ている場所だけを見ればよいとは限りません。
腰や骨盤、股関節、膝、足首などは連動して動いているため、複数の部位を確認することで身体の状態を把握しやすくなります。
梅島鍼灸院では、腰や下肢の状態、動作時の負担、筋肉の緊張などを確認しながら、必要に応じて鍼灸施術を検討します。
足立区・梅島周辺で、腰まわりの不調や脚の症状について鍼灸を検討している方は、お気軽にご相談ください。
まとめ|委中は膝裏にある代表的な経穴の一つです
委中は、膝裏の横じわ中央付近に位置する経穴で、足の太陽膀胱経に属しています。
東洋医学では「腰背は委中に求む」という考え方が知られており、古くから腰や背中に関連する経穴として用いられてきました。
一方で、委中は「腰痛に必ず効くツボ」「坐骨神経痛を治すツボ」というものではありません。
腰痛や脚のしびれにはさまざまな背景があるため、腰だけでなく股関節や下肢を含めて身体の状態を確認することが大切です。
また、膝裏には神経や血管など重要な組織があるため、セルフケアで強く押し続けることは避けましょう。
委中の場所や特徴を正しく理解し、必要に応じて鍼灸師や医療機関へ相談することが大切です。
