フットボーラーズアンクル(Footballer’s Ankle)とは、サッカー選手(フットボーラー)やバレーボール選手に多く見られる足首の障害の一つで、足関節前方インピンジメント症候群(Anterior Ankle Impingement)とも呼ばれます(以降、AAI)。主に、足関節の前方(足の甲側)で骨や軟部組織が挟まれて炎症を起こすことで痛みが生じます。
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鍼灸院にも相談が多い-足首の痛み
足関節インピンジメント症候群は,異常な骨組織が衝突(インピンジメント)または軟部組織が関節内にはさみこまれることにより、足関節の痛みや正常な可動域が制限される病態です。
前方インピンジメント(AAI)、後方インピンジメント(PAI)に分類されます。
衝突性外骨腫とも呼ばれ、足関節の底背屈を頻繁に繰り返すことにより、脛骨と距骨が衝突して増殖性の骨変化を起こし、骨棘を生じ疼痛と可動域制限をきたすものです。骨棘は突起となり対抗する関節軟骨面と衝突して損傷を起こしたり、折れて遊離体となる事があります。
身体所見、画像所見(エコーやX線像、CT、MRIなど)などで診断し、それぞれの病態に応じた治療をします。
キックや反復動作などが疼痛の原因に

フットボーラーズアンクルは、以下のような動作の繰り返しによって発生します。
- キック動作の反復(特にインステップキック)
- ↪足関節の過度な底屈強制(つま先下げる動作)
- 足関節の過度な背屈(つま先を上げる動作)
- タックルなどの接触による足首の衝撃
- 足関節の捻挫の後遺症
これらの動作や負荷により、脛骨(すねの骨)や距骨(足首の骨)に骨棘と呼ばれる余分な骨が形成され、足関節の可動域が制限されたり、痛みが発生します。
可動域制限や疼痛が顕著
遊離体になると、それが痛みをおこしたり、挟まって嵌頓症状を起こすことがあります。また、足関節の底屈が強制されたことが原因で足関節関節包の前部の断裂が起こり、底屈が強制されたのちに足関節前面の疼痛を訴えることがある。落ちに石灰化が起こることもある。
- 足首の前面(特に足の甲側)の痛み
- 足関節を背屈すると痛みが増す
- キック時やジャンプ時に痛みが出る
- 腫れや違和感、引っかかる感じがある
- 足首の可動域制限(特に背屈がしづらい)
AAIの一般治療
整形外科で、X線(レントゲン)検査で骨棘の有無を確認したり、MRIやCTで軟部組織の損傷を調べることがあります。
保存療法(手術しない方法)
- 安静・運動制限(痛みが強い場合はプレーを中断)
- アイシング(炎症や痛みの軽減)
- ストレッチ・リハビリ(ふくらはぎや足首の可動域を改善)
- テーピング・サポーター(足関節の安定性を確保)
- 物理療法(超音波、電気治療)
- 鍼灸治療(炎症の軽減や筋肉の緊張緩和)
安静を保持し炎症がある時は消炎鎮痛剤の塗布や注射が行われ、顕著な骨棘がある場合、それが折れて遊離体がある場合は、手術的に骨棘の切除や遊離体の摘出が行われる。
保存療法で改善しない場合、関節鏡視下手術(関節鏡を使った骨棘の除去)を行うことがあります。
手術治療は足関節鏡視下手術を日帰りで行い,術後の固定期間はなく,炎症症状次第で徐々に体重を乗せて歩きます。その後は4週間でジョギング開始,6~8週でスポーツ復帰を目安としています。
鍼灸治療でフットボーラーズアンクルを改善
手術が必要な場合は手術を優先させ原因となる骨棘や遊離体の除去を優先した方が良い。炎症が軽微で疼痛が軽い場合は、患部の消炎鎮痛を目的とし鍼灸治療を行うことがあります。
患部の腫脹の軽減、疼痛の軽減、患部回復のための血行促進などを目的に患部に鍼灸治療を行います。また足関節の関節可動域の改善、疼痛の軽減、代償動作による他関節への影響軽減およびバランス調整のため、手足や体幹部の患部外の鍼灸施術も行うことがあります。
お家で出来るおすすめのセルフケア
- ウォーミングアップとストレッチ(特に足首・ふくらはぎ)
- 正しいキックフォームの習得
- 過度な練習を避ける
- 足首の柔軟性と筋力トレーニング
- 適切なシューズの選択
鍼灸治療で足首の痛みを改善しましょう
フットボーラーズアンクルは、特にサッカーをしている人に起こりやすく、シュートやフィード時に蹴るインステップキック時の負担が大きいと言われています。慢性症状になりやすいため早期のケアが重要です。痛みを放置すると悪化することがあり、違和感がある場合は整形外科や鍼灸院で早めに診てもらうことをおすすめします。