多くの研究結果により、鍼治療は、腰痛、頸部痛、変形性関節症/膝痛など、慢性化することの多い痛みの緩和に効果がある可能性が示唆されています。また緊張性頭痛の頻度を減少し、片頭痛を予防する効果がある場合があります。従って鍼治療は、慢性痛のある人にとって考えられる妥当な選択肢となるでしょう。(索引:厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』)
慢性痛の治療で良く使われる鍼灸ですが、実際身体の中では何が起きているのか。
鍼灸治療を検討中の方に安心して利用してもらえるように簡単に説明いたします。
Contents
はりを打つと何が起こるの?
「はりを打つことで何に効くの?」
「どこを狙って治療するの?」
鍼灸治療を初めて受けられる方や興味はあるけど本当に効果があるのか不安に思っている方が非常に多いです。ここでは、はり治療によって起きる身体の反応について簡単に説明していきます。
神経の興奮を抑える働き
痛いところを押さえたり擦ったりすると痛みが和らぐ、気分が楽になり痛みが気にならないなど、誰もが経験されているのではないでしょうか。「手当て」という言葉がありますが、患部(例えばお腹が痛い時)に手を当てると痛みが緩和されます。鍼灸の刺激は、このような痛みを抑制する仕組みを働かせるきっかけになり、その結果として鎮痛効果を発揮します。
毛細血管を拡張する働き
血管を拡張させて酸素や栄養をたくさん含んだ新鮮な血液を呼び込んで新陳代謝を高めたり、異物と戦う白血球を呼び寄せて傷付いた部位から感染することを防いだりします。鍼灸治療はこのような反応を利用して、皮膚や筋肉に目には見えない微細な傷や小さな火傷を作り、筋肉の血液循環を改善して肩こりや腰痛を治したり、傷害を負った部位の修復を促進したりします。
はりにはどんな症状に効果があるの?
実際にはり治療を受けに来る患者様はどんなお悩みを持っているのか。当院で多く治療しているお悩みの一例をまとめました。
首こり・肩こり
デスクワークや肉体労働、炊事洗濯家事など原因は様々ではありますが、最も多く相談をされる症状のひとつが首・肩のコリ/ハリです。その多くが姿勢の悪さや運動不足で、血流が悪くなっていることが多いです。患部に鍼灸治療を行うことで血流改善と鎮痛鎮静を促し、遠隔のツボを使って全身の血液循環の改善と姿勢の改善を促します。
腰痛・坐骨神経痛
腰椎椎間板ヘルニアや坐骨神経痛といった加齢や傷害を持つ方が増えてきています。特に普段座った姿勢を長時間キープしながら働いている事務職や運転を頻繁に行う運転手の方などは、降車時や急に立ち上がった際に腰が抜けたなどの相談が多いです。腰痛患者さんは、まずはり治療で神経の興奮を抑え鎮痛効果を促します。腰と股関節周りにある筋肉・神経を目標にして痛みを抑えます。症状が落ち着いてからは、定期的なメンテナンスと再発防止のためのストレッチを行います。
自律神経調整
身体には皮膚や筋肉などに刺激が加えられると自律神経の活動が変化し、自律神経が支配する臓器・器官の働きが反射的に調節される仕組みも備わっています。鍼や灸の刺激はその仕組みを利用して自律神経活動を変化させ、血管の調節をしたり臓器の働きを良くしたりします。その結果、血圧が調節されたり、ホルモンバランスが整えられたり、免疫系が活性化したりなど全身性の広範な効果が引き起こされます。ですから、鍼灸治療を続けていると体調が良くなり、病気になりにくくなるのです。
治療できるのは国家資格保有者のみ
日本で鍼灸施術を行うには、はり師・きゅう師の国家資格が必要です。国家資格の取得には、高等学校卒業後、鍼灸専門学校・鍼灸大学・視覚障害者のための教育機関に3年以上通うことが必要です。そこで医学知識と鍼灸技術を習得し、卒業試験に合格した後、国家試験に合格するとはり師・きゅう師の国家資格が取得できます。
十分な技術や知識があっても、好転反応や内出血のリスクなどの一時的な不調が出るリスクはあります。そのため大事な試合やイベントの直前に施術をご希望の方は、必ず事前にご相談ください。
はりはこんな人におすすめ!
慢性的な症状が続いている方やなんとなく不調が続いている方には鍼灸をぜひうけてもらいたい!上記の症状以外にもこんな悩みのある方は、鍼灸を受けてみてください。
- 辛い痛みや症状が続いている方
- 湿布薬やマッサージで良くならなかった方
- 不調の原因を根本から治したい方
まとめ
「鍼灸を受けたいけどどんなことをするのか分からない」
「いろいろ治療を探してきたけど鍼はよく知らないから不安」
鍼灸のハードルは知らないうちにすごく高く設定されてしまっています。
まずは相談してみて、自分に合うのか判断してみるのもいいですよ!