アキレス腱の痛みで使われるツボは?場所・セルフケアを鍼灸師が解説

アキレス腱の痛みに悩むランナーをイメージした既存アイキャッチ

ランニングやウォーキングを続けていると、「アキレス腱の周辺が痛い」「朝の一歩目でかかとの上が痛む」「走り始めに違和感がある」といった症状を感じることがあります。

こうしたときに「アキレス腱に使われるツボはあるのか」「痛いところを押してもよいのか」「マッサージした方がよいのか」と調べる方も多いのではないでしょうか。

アキレス腱周辺の不調では、太谿や崑崙、承山、足三里などのツボが鍼灸で用いられることがあります。ただし、ツボを押したときの痛みだけで身体の状態を判断することはできません。また、腫れや熱感が強い場合や、歩くことが難しいほど痛む場合には、セルフケアを続けるより医療機関で状態を確認することが大切です。

この記事では、アキレス腱の場所や痛みの出方、代表的なツボの位置、ツボを押すと痛い理由、マッサージやストレッチなどのセルフケア、医療機関へ相談したい症状、鍼灸で確認するポイントについて、鍼灸師の視点から分かりやすく解説します。


アキレス腱の痛みはどこに出る?

解剖・基礎説明
アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉とかかとの骨をつなぐ腱です。痛みは腱の中央部や踵骨への付着部付近にみられることがあります。

アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉とかかとの骨をつないでいる大きな腱です。

歩行やランニング、ジャンプなどでは、ふくらはぎの筋肉が発揮した力を足部へ伝える重要な役割があります。そのため、繰り返し大きな負荷が加わるスポーツでは、アキレス腱周辺に痛みや違和感が生じることがあります。

アキレス腱とはどこにある?

アキレス腱は、下腿後面にある腓腹筋やヒラメ筋などから連続し、かかとの骨である踵骨に付着しています。

足首の後ろ側に触れると、かかとの少し上からふくらはぎに向かって伸びている硬いひものような組織を確認できます。

痛みが出る場所は一つではありません。

たとえば、

  • かかとのすぐ上
  • アキレス腱の中央付近
  • アキレス腱と踵骨の付着部周辺
  • アキレス腱の内側や外側
  • ふくらはぎからアキレス腱へ移行する部分

などに痛みや圧痛を感じることがあります。

痛みの場所や原因によって対応が異なるため、「アキレス腱が痛い」という情報だけで一律に考えないことが大切です。

ランニングで痛みが出やすい理由

ランニングでは、着地のたびに足首やふくらはぎ、アキレス腱へ繰り返し負荷がかかります。

とくに、

  • 走行距離を急に増やした
  • スピード練習を増やした
  • 坂道を走る機会が増えた
  • 久しぶりにランニングを再開した
  • 靴を変更した
  • 十分な休養を取らずに走り続けた

といったタイミングでは、アキレス腱周辺への負担が大きくなることがあります。

また、アキレス腱の不調は単純な「炎症」だけで説明できるとは限りません。

繰り返される負荷によって腱組織に変化が起きている場合もあるため、痛みが続いているときには「冷やせばよい」「揉めばよい」と一つの方法だけに頼らないことが重要です。

朝の一歩目や走り始めに痛むことがある

アキレス腱周辺の不調では、

「朝起きて最初に歩いたときに痛い」

「走り始めが痛いけれど、身体が温まると少し楽になる」

といった症状を感じる方もいます。

一時的に動きやすくなったとしても、痛みの原因がなくなったとは限りません。

ランニングを続けているうちに痛みが強くなる場合や、翌日に症状が残る場合には、運動量を見直すことが大切です。

アキレス腱炎の原因や、腓腹筋・ヒラメ筋との関係については、「【足首の後ろが痛い】アキレス腱炎と鍼灸」で詳しく解説しています。

アキレス腱炎の原因や、腓腹筋・ヒラメ筋との関係


アキレス腱周辺で使われる代表的なツボ

アキレス腱周辺の不調に対して、鍼灸では足首やふくらはぎ、下腿にあるツボを用いることがあります。

ここでは代表的なツボを紹介します。

ただし、ツボは「押せば必ず痛みが取れる場所」というものではありません。身体の状態や症状の出方を確認しながら用いることが基本です。

ツボ位置確認
承山はふくらはぎ後面、崑崙は外くるぶしとアキレス腱の間、太谿は内くるぶしとアキレス腱の間を目安に位置を確認します。

太谿(たいけい)

太谿は、内くるぶしとアキレス腱の間にあるツボです。

東洋医学では足の少陰腎経に属する経穴として知られています。

場所を探すときは、内くるぶしの最も高いところとアキレス腱の間に指を当て、軽くくぼんでいる部分を目安にします。

アキレス腱のすぐ内側に位置しているため、足首周辺の状態を確認するときに使われることがあります。

セルフケアで触れる場合には、強く押し込む必要はありません。軽く触れて圧痛の有無を確認する程度に留めましょう。

崑崙(こんろん)

崑崙は、外くるぶしとアキレス腱の間にあるツボです。

足の太陽膀胱経に属します。

外くるぶしの最も高いところとアキレス腱の間に指を当てると、くぼみを感じやすい場所があります。

太谿がアキレス腱の内側にあるのに対し、崑崙は外側に位置しています。

足首周辺や下腿後面の状態を確認する際に鍼灸で用いられることがあります。

承山(しょうざん)

承山は、ふくらはぎの後ろ側にあるツボです。

ふくらはぎに力を入れたときにできる筋肉の盛り上がりから下へたどり、筋肉がアキレス腱へ移行していく付近を目安にします。

アキレス腱だけに負担が集中しているように感じる場合でも、ふくらはぎの筋肉が強く緊張していることがあります。

そのため、アキレス腱周辺の状態を見る際には、承山を含むふくらはぎ全体の状態も確認します。

足三里(あしさんり)

足三里は、膝の外側下方にある代表的なツボです。

アキレス腱からは少し離れた位置にありますが、下腿全体の状態を確認する際に用いられることがあります。

ツボは痛い場所のすぐ近くだけを使うとは限りません。

鍼灸では、症状がある部分だけでなく、周辺の筋肉や関節、身体全体の状態を確認しながら施術部位を検討します。

足三里の正確な場所と見つけ方はこちら


アキレス腱のツボを押すと痛いのはなぜ?

「アキレス腱の近くにあるツボを押すと痛いから、そこが悪いのではないか」と心配する方もいます。

しかし、押したときの痛みだけで身体の状態を判断することはできません。

ツボを押した痛みだけで状態は判断できない

太谿や崑崙などの周辺は、骨や腱、筋肉などが近接している場所です。

強く押せば、健康な状態でも痛みを感じることがあります。

また、

  • 筋肉の緊張
  • 皮膚や皮下組織の刺激
  • アキレス腱周辺の圧痛
  • 足首周辺の負担

などによって、押したときに痛みを感じることもあります。

そのため、

「痛いツボ=身体の悪い場所」

「強く痛いほど症状が重い」

と考えるのは適切ではありません。

強く押す必要はありません

ツボ押しは、痛みに耐えて強く行う必要はありません。

とくにアキレス腱周辺は、繰り返し負荷が加わっている可能性があるため、強い刺激によってかえって痛みが増すこともあります。

セルフケアで触れる場合には、

  • 気持ちよい程度
  • 痛みを我慢しない
  • 長時間押し続けない
  • 翌日に痛みが増す場合は中止する

といった点を意識してください。

腫れや熱感が強い場合は押さない

アキレス腱周辺に明らかな腫れや熱感がある場合、強く押したり揉んだりするのは避けた方がよいでしょう。

また、急に強い痛みが出た場合や、歩行が難しい場合には、ツボ押しよりも状態確認を優先する必要があります。


アキレス腱が痛いときのセルフケア

アキレス腱が痛いときのセルフケアでは、「痛いところをとにかく揉む」という考え方はおすすめできません。

痛みの程度や負荷のかかり方を確認しながら、無理のない範囲で対応します。

セルフケア説明
ふくらはぎやアキレス腱まわりのストレッチは、強い痛みを我慢せず、心地よく伸びる範囲で行います。痛みが強い場合は無理をしないことが大切です。

マッサージは痛い場所を強く揉まない

アキレス腱そのものを強くつまんだり、痛みを我慢して揉んだりする必要はありません。

とくに押したときの痛みが強い部分は、刺激を加えすぎるとかえって症状が増す場合があります。

マッサージをする場合には、痛みの強い部分を避け、周囲を軽く触れる程度から始めましょう。

ふくらはぎをやさしくケアする

アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉と連続しています。

そのため、アキレス腱だけではなく、腓腹筋やヒラメ筋などの状態も確認することが大切です。

ふくらはぎを軽くさする、痛くない範囲でやさしくほぐすなど、刺激量を抑えながら行います。

強く揉んだ方がよいわけではありません。

ストレッチは症状に合わせて行う

ふくらはぎのストレッチは、身体の状態によって取り入れられる場合があります。

ただし、アキレス腱付着部周辺に痛みがある場合などでは、強く伸ばすことで症状が増すこともあります。

ストレッチ中に痛みが強くなる場合や、終わった後に症状が残る場合には中止してください。

「アキレス腱が痛い=必ずふくらはぎを伸ばす」という考え方ではなく、その日の状態に合わせることが重要です。

ランニング量を一時的に調整する

アキレス腱の痛みがある場合、セルフケアだけではなく運動量の調整も重要です。

たとえば、

  • 走行距離を減らす
  • スピード練習を控える
  • 坂道を避ける
  • 痛みが強い日はランニングを休む
  • クロストレーニングを検討する

など、アキレス腱へかかる負荷を一時的に調整します。

「痛いけれど走れば慣れる」と我慢して続けると、症状が長引くこともあります。


このようなアキレス腱の痛みは医療機関へ相談を

アキレス腱の痛みの中には、セルフケアだけで様子を見ない方がよいものもあります。

急に「ブチッ」とした感覚があった

スポーツ中などに、

「後ろから蹴られたような感じがした」

「ブチッという感覚があった」

「急に強い痛みが出た」

という場合には、アキレス腱断裂などの可能性も考えられます。

このようなときには、無理に歩いたりストレッチしたりせず、医療機関へ相談してください。

腫れや内出血が強い

アキレス腱周辺に大きな腫れや内出血がある場合にも、強い組織損傷が起きている可能性があります。

ツボ押しやマッサージを続けるのではなく、状態確認を優先しましょう。

つま先立ちが難しい

片脚でつま先立ちができない、足首に力が入りにくいといった症状がある場合には、アキレス腱やふくらはぎの機能に大きな問題が生じていることがあります。

歩くことも難しい

通常の歩行が難しいほど痛みが強い場合には、セルフケアだけで対応しない方が安全です。

痛みが長期間続いている

強い痛みでなくても、数週間以上症状が続いている場合や、ランニングを再開するたびに痛みが繰り返される場合には、医療機関などで状態を確認することを検討してください。


アキレス腱周辺の不調に対して鍼灸では何を確認する?

鍼灸院では、「アキレス腱が痛い」という情報だけで施術部位を決めるわけではありません。

痛みの場所や動作、足首やふくらはぎの状態などを確認しながら施術内容を考えます。

アキレス腱だけでなくふくらはぎや足首も確認する

アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉や足首の動きと密接に関係しています。

そのため、

  • アキレス腱のどこが痛むか
  • 腓腹筋やヒラメ筋の緊張
  • 足首の動かしやすさ
  • 左右差
  • 歩行やランニング時の症状
  • 運動量の変化

などを確認します。

必要に応じて、太谿、崑崙、承山などの経穴や周囲の筋肉を施術部位として検討します。

鍼通電を行う場合の考え方

身体の状態によっては、鍼を刺入した後に低周波の電気刺激を加える鍼通電を行うことがあります。

ただし、すべてのアキレス腱の痛みに鍼通電を行うわけではありません。

痛みの場所や刺激への反応、既往歴などを確認したうえで施術方法を検討します。

ツボや筋肉の状態に合わせて施術を検討する

東洋医学では、経絡や経穴の考え方を用いて身体をみることがあります。

一方で、実際の施術では、アキレス腱周辺の組織だけではなく、ふくらはぎ、足首、股関節などの状態も含めて確認することが重要です。

「特定のツボを使えば必ずよくなる」と考えるのではなく、身体の状態に応じて施術内容を選択します。


アキレス腱のツボについてよくある質問

Q1.アキレス腱が痛いときツボを押してもいいですか?

軽い刺激であれば行える場合がありますが、強く押す必要はありません。

腫れや熱感が強い場合、急に強い痛みが出た場合、歩くことが難しい場合には、ツボ押しよりも医療機関での状態確認を優先してください。

Q2.太谿と崑崙はどこにありますか?

太谿は内くるぶしとアキレス腱の間、崑崙は外くるぶしとアキレス腱の間にあります。

どちらもアキレス腱のすぐ近くに位置するため、強く押し込まずやさしく触れてください。

Q3.アキレス腱を直接マッサージしてもいいですか?

痛みが強い場所を直接強く揉むことはおすすめしません。

マッサージをする場合には、症状の程度を確認しながら、ふくらはぎなど周囲を軽くケアする程度から始めてください。

Q4.アキレス腱の痛みがあるとき走ってもいいですか?

症状の程度によって異なります。

走ることで痛みが強くなる場合や、翌日に症状が残る場合には、走行距離や運動強度を一時的に調整することが大切です。

歩くことも難しいほどの痛みがある場合は、ランニングを続けず状態を確認してください。

Q5.ツボを押して痛ければ悪い状態ですか?

押したときの痛みだけで身体の状態を判断することはできません。

ツボ周辺には骨や腱、筋肉などがあるため、強く押せば痛みを感じることもあります。

「押して痛い=悪い」という自己判断は避けましょう。


アキレス腱の痛みではツボだけで判断しないことが大切です

アキレス腱周辺の不調に対しては、太谿、崑崙、承山、足三里などのツボが鍼灸で用いられることがあります。

ただし、ツボを押したときの痛みだけで身体の状態を判断することはできません。

セルフケアでは、

  • 痛い部分を強く揉まない
  • ツボを強く押しすぎない
  • ふくらはぎをやさしくケアする
  • ストレッチは症状に合わせる
  • ランニング量を調整する

といった点を意識することが大切です。

また、急に強い痛みが出た場合、腫れや内出血が強い場合、つま先立ちや歩行が難しい場合には、セルフケアや鍼灸を優先せず医療機関へ相談してください。

足立区・梅島でランニング時のアキレス腱周辺の痛みや違和感について鍼灸を検討している方は、梅島鍼灸院でもアキレス腱だけではなく、ふくらはぎや足首、身体の使い方などを確認しながら施術内容を検討しています。必要に応じてご相談ください。


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